コンサート備忘録(ラフマニノフ「晩祷」)

d0135403_054201.jpg2009年10月23日(金) 19時
東京カテドラル 聖マリア大聖堂

河地良智指揮
東京トロイカ合唱団

ラフマニノフ「晩祷」



ラフマニノフが作曲した無伴奏の合唱曲。滅多に演奏されない名曲、とのことで興味を惹かれ、聴きに行った。

プログラムによれば、この曲はロシア正教の典礼曲であり、大きな祝日や主日の前夜に夜を徹して行われる礼拝のために書かれ、全15曲からなる。

1915年に完成したラフマニノフ中期の傑作であるが、ソビエト政府の宗教弾圧のために存在が葬られ、長らく日の目を見なかったという。


私は、ロシア正教の何たるかを知らず、その教会音楽も知らず、この曲について語れる素地を持たないが、「感銘を受けた」とだけは書いておこう。ただし、それは、音楽だけの力ではなく、「場」の力もあったのだと思う。

東京カテドラル聖マリア大聖堂は、見事な造形の建築物である。丹下健三氏の設計により1964年に落成したこの建物は、上空から見ると十字架の形をしている。内部はコンクリート打ちっぱなしの大空間になっており、正面は、上方の天井に向かって両横の壁が曲線を描いて伸び、大きな三角形を形成している。巨大な岩窟を思わせ、静謐でありながら威厳がある。

ここにいるだけで、既に心は「場」の力に支配されてしまっている。心が支配されるのは、恐ろしいことだ。信じたことは、その人間にとって唯一の真実となり、世界を閉じる。

自分は天邪鬼な人間であり、かなり懐疑的な性格だ。それは、支配されるのが嫌だ、ということなのかもしれない。「目標に向かって突き進む」のも、好きではない。単に怠惰なだけ、ということもあるが、何かそこに「物を見えなくする」要素が入っているように感じ、距離をおいてしまう。

合唱団の演奏は技術的な問題を超え、感動的だった。折からの多忙で、終演後、余韻を味わう余裕も無くそそくさと席を立ち、一目散に会社に戻らざるを得なかったのが、なんとも味気なかった。

<付録>
d0135403_0181395.jpgラフマニノフついでに、最近見つけた出色のCDを。

スティーヴン・オズボーン
ラフマニノフ 24の前奏曲

- 前奏曲嬰ハ短調op3-2
- 10の前奏曲 op23
- 13の前奏曲 op32

オズボーンは注目しているピアニストの一人である。過去、実演を聴いたときの備忘録はココ

この人は、およそ耽溺するということをせず、冷静なアプローチであるが、曲を捉える感性が抜群に鋭い。このCD、強くお薦めする。
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by bibinga | 2009-10-24 23:55 |  

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