高木綾子さんのコンサート

2010年2月8日(月)

気鋭のフルート奏者高木綾子さんの無料コンサートが日本橋のビルで開催された。

日本の中堅世代で素晴らしいと思うフルート奏者が2人いる。一人は藤井香織さんで、もう一人が高木綾子さんである。

藤井さんは金のフルートを吹き、すがすがしく輝かしい音色。かたや高木さんは銀のフルートを吹き、太く朗々と鳴る音、そして温もりのある音楽を目指しているようである。

藤井さんのフルートは生で何度も聴いており、その度に感銘を受けてきた(機会さえあれば、いつでも聴きたいと思うフルート奏者である)。また、録音も、バッハ「無伴奏チェロ組曲」、B.スターク編曲バッハ「アリア」、ベルリンフィル首席オーボエのアルブレヒト・マイヤーとの二重奏「パッション・フライト」、モリコーネの映画音楽集「ロマンツェ・ディ・モリコーネ」など、いずれも本当に素晴らしい。特に、無伴奏チェロ組曲の第1集と「アリア」は、私の愛してやまない「心の名盤」となっている。

一方、高木さんについては、CDは何枚も持っているが、これまで生で聴いたことは一度も無かった。今日は、日本橋三井タワーのアトリウムで無料コンサートがあるというので、絶好のチャンスと思い、会社を18時過ぎに切り上げて聴いてきた。

曲目は、
  ドビュッシー シリンクス
  ライネッケ  ソナタ「ウンディーヌ」から第1,3,4楽章
  ピアソラ   「タンゴの歴史」から第1~3曲
  ショッカー  「後悔と決意」
  アンコール: 村松崇継 「アース」

ショッカーとアンコール以外は、自分でもトライしている良く知った曲であり、それだけに、演奏の素晴らしさが身に染みて感じられた。

生で聴いて、高木さんの音色の美しさに感じ入った。CDからは少し地味めの印象を受けていたが、今日聴いた彼女の音は、低音は太く暖かく、中音は張りがあり、高音は輝かしく(しかし尖らず)、大変に美しく魅力的な音色である。

今まで、ゴールドの楽器が欲しいなぁ、と思っていたが、今日の高木さんの音を聴いて、銀の楽器の良さを見直した。(道具を変える前に、まだまだ努力すべきことが多いわけね・・・)

フレーズの捉え方、ダイナミクス、息の使い方で描き分けるニュアンスなどに非凡なセンスが感じられ、随所に発見があった。例えば、ライネッケ3楽章後半の速いパッセージ→羽毛のように軽い表現。ピアソラの第1曲→警官の呼子の表現。etc,etc・・・

それにしても、今日の聴衆は偶然集まったものとは思えない。高木さんのファンの方々はじめ、笛吹きが狙ってやって来た節がある。パイプ椅子はざっと100席分くらいだっただろうか。椅子席には到底おさまらず、多勢が、立ったまま1時間のコンサートに聴き入っていた。オープンスペースでのコンサートらしからぬ張り詰めた場の緊張感、そしてそれに負けない気合の入った演奏であった。

惜しむらくは、「放し飼い」にされた幼い女の子が演奏者のすぐ目の前まで出て行き、あくびをしたり、後ろを振り返ったり、およそ落ち着きの無い態度で場の雰囲気を霍乱していた。しかし、高木さんの集中力にはいささかの乱れもなく、平然と演奏していた。うーむ、立派である。

日本のトップクラスのフルート奏者の実力を目のあたりにした演奏であった。今度はコンサートホールに聴きに行こう。
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by bibinga | 2010-02-08 23:47 |  

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