1枚の絵

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この絵は、友人TH君が描いた絵である。

彼は画家ではない。絵を描くのが好きで、自己流で描いている。時間をかけて本格的に描く、というのはなかなか事情が許さないらしく、短い時間でちょろちょろっと描き上げているようだ。具象画、抽象画、画集を見ての模写など、いろいろ描いている。

お金もかけられないので、要らない紙の裏を使ってかく。良くてスケッチブック。キャンバスに描くのは、特別な時だけだ。

描いた絵は、気に入ったものは残し、それほどでもないものはしばらくしたら処分してしまう。彼の住んでいる家の居間の壁には、過去に描いた絵が5~6枚掛けられていて、それらは(今のところ)捨てられずに残っているもの、ということになる。

この絵は、壁にかかっていた中の1枚で、どこか惹かれるものがあって、「この絵、とてもいいね」と誉めたら、「大した出来じゃないけど、よかったら持ってっていいよ」と言うのでもらってきた。額縁屋に相談し、この黒い額をつけてもらった。

彼は絵が上手いが、もっと本格的なのはヴァイオリンだ。幼少時、イタリアの子供コンクールで優勝し、その演奏がオーストリアの国営ラジオで放送されたこともある。

絵にしてもヴァイオリンにしても、彼は、自分の中から湧き上がってくるものを持っている。曲の解釈とはどういうことか、と尋ねたところ、「曲に集中していると、曲の方から『こう弾いて欲しい』と言ってくる」と言う。絵も描きたいイメージが浮かんできて、それに突き動かされて描くのだという。

もちろん、単に感性に任せて弾けば良いというものではなく、作曲の背景、時代考証、音楽の構成分析など、曲の研究には終わりが無く、深く知るにつれて演奏も変わっていくに違いないが、まずは曲の発するメッセージを捉える心のアンテナが研ぎ澄まされていることが演奏家に不可欠の資質であろう。そして、これは持って生まれた才能であり、持たざる者としては、本当にうらやましい。絵かヴァイオリンか、彼にはどちらかの道で大成して欲しいと心から願う。

TH君は今、中学生。写真の絵は、彼が小学生(12歳)の時に描いた絵である。
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by bibinga | 2008-08-06 21:58 | その他  

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