ワイン備忘録(ビオのワイン)

d0135403_2313112.jpg
2008年8月2日(土)

Chateau La Grave 1996 (Fronsac, Bordeaux, France)


日本の夏は暑くて、赤ワインを飲む気分にはなかなかならないが、「豚の角煮」に合わせて久しぶりに赤を飲みたくなり、ボルドー(フロンサック地区)のラ・グラーヴ96を開けた。

このワインは2000年の秋、小田急デパートのワインフェアで買ったもの。購入後8年間、M倉庫→T倉庫のセラーで寝かせてきた。(恥ずかしながら、セラーの中身はこのレベルのワインが大半である。)


d0135403_23134480.jpgエチケット(ワインのラベル)の下方に説明書きのあるとおり、ラ・グラーヴでは1990年からビオディナミによる葡萄栽培を行っている。ビオディナミとは、農薬や化学肥料を極力使わず、自然の摂理の力を利用して葡萄を健全に育てようとする農法のことである。


「自然の摂理の力を利用して」という点がポイントで、具体的には、天体の運行に合わせて農作業の日程を決めたり、プレパラシオンと呼ばれる特殊な調合材料(※)を畑に撒く。ほとんどオカルトである。

 ※ プレパラシオンには8種類ある。
 500番 牛の角に牛糞を詰め、土中に冬の間6か月間埋める。(根の強化)
 501番 牛の角に水晶を砕いて粉末状にしたものを詰め、土中に夏の間6か月間埋める。
      (茎や葉の強化)
 502番 ノコギリソウの花を鹿の膀胱に詰め、軒先に吊るして夏の太陽に当てる。その後
      土に埋める。(硫黄とカリウムの代謝改善)
 503番 カモミールを牛の小腸に詰めて発酵させた後、土の中に埋める。(カルシウムの
      代謝改善、窒素量の調整)
 504番 イラクサの葉と茎を土の中に埋めて腐葉土にする。(土中に窒素と鉄分を供給)
 505番 オークの樹皮を剥ぎ、細かく刻んで家畜の頭蓋骨に詰め、湿った土の中に埋める。
      (抵抗力強化)
 506番 タンポポを牛の腸に詰めて土の中に埋める。(珪酸の供給)
 507番 鹿の子草の花を瓶に入れ、水に浸し、その瓶を木に吊るす。(リンの供給)

ちなみに、農薬・化学肥料を抑制するだけの(つまり天体運行やプレパラシオンは取り入れない)農法は、無農薬の場合はビオロジック、減農薬の場合はリュット・レゾネと呼ばれ、ビオディナミ、ビオロジック、リュット・レゾネはひっくるめて「ビオ」または「自然派」と総称されている。

ビオによるワインは、醸造・瓶詰時に酸化防止剤(二酸化硫黄)を添加しない、または控えめにして作られることが多い。酸化防止剤を使っていないワインは傷みやすいと言われるが、私の経験上、まさにそのとおりなので、注意が必要である。特に温度管理が重要で、温度が上がるとあっという間に味が変質する。夏だったら酒屋から小走りに帰るくらいの勢いで、すぐにセラー(セラーが無ければ冷蔵庫)に入れよう。

ビオワインは一般的に、さらっとしていてスイスイ飲める(ように思う)。もっとも、これがビオのせいなのか、酸化防止剤の抑制のせいなのかは、よくわからない。(個人的には後者のような気がしている)

このラ・グラーヴは、ビオ感の強いワインではなく、ラベルに書かれていなければ気づかなかったと思うが、さっぱりして優しい感じがするところはやはりビオか。程よい熟成で、しっとりした上品な味わい。飲んで落ち着く。香りはあまり立ってこなかったが、デキャンタージュしたら、だいぶいい感じになった。

今一つパンチに欠け、若干の物足りなさは残ったものの、「さらっと感」が夏場にはピッタリ。「一歩間違ったら、凄いワインなんだけどなぁ・・・」とレトリックとしては少々おかしな感想を持ちながら、するすると飲みきった。
[PR]

by bibinga | 2008-08-11 23:04 |  

<< 小さな生き物 1枚の絵 >>