コンサート備忘録(ウィーン国立歌劇場 ロベルト・デヴェリュー)

d0135403_142792.jpg2008年10月31日(金) 東京文化会館大ホール

ウィーン国立歌劇場
ガエターノ・ドニゼッティ 「ロベルト・デヴェリュー」
(演奏会形式)

指揮:フリードリッヒ・ハイダー(Friedrich Haider)
合唱指揮:トーマス・ラング(Thomas Lang)

エリザベッタ:エディタ・グルベローヴァ(Edita Gruberova)
ノッティンガム公爵:ロベルト・フロンターリ(Robert Frontali)
サラ:ナディア・クラステヴァ(Nadia Krasteva)
ロベルト・デヴェリュー:ホセ・ブロス(Jose Bros)
セシル卿:ペーター・イェロシッツ(Peter Jerosits)
グアルティエロ・ローリー卿:甲斐栄次郎
執事:伊地知宏幸
ノッティンガム公爵の親友:マリオ・ステッラー(Mario Steller)

ウィーン国立歌劇場管弦楽団、ウィーン国立歌劇場合唱団


女王グルベローヴァのためのコンサートと言っても過言ではなかろう。ほとんどの聴衆の目当ては彼女だったろうし、興行側もそれを意識していたはずだ。

確かにグルベローヴァは素晴らしかった。この曲は魔笛のようにHi Fを要求したりはしない曲だが、数回のHi Dは軽々出していたし、あれだけ長く歌った後の最後のEs(かDis)をあそこまでクレッシェンドするとは、恐れ入りました、と頭を下げるしかない。(当日耳で聴いただけで楽譜を確認していないので、音が違っていたらすみません)

満員の聴衆も拍手喝采、彼女の比類なき輝かしい歌声に、惜しみない賞賛を贈っていた。

・・・が、私は彼女の歌には、ちょっと引いてしまう。歌唱技術の素晴らしさを認めるにやぶさかではないが、あまりにも平然と苦も無く歌ってのける(実際は苦も無く、などということはないのだろうが)ので、気持ちを移入できないのだ。芸術というよりは、スポーツ競技のように感じてしまう。

このあたりは良し悪しの問題ではなく、好みの問題だろう。どうやら私は、強い輝きよりも、涙を誘うはかない存在に肩入れしたくなるようだ。ワインの好みにしても、アグネス・ラムのようなカリフォルニアワインよりも、樋口一葉のようなフランスワインが好きだ。(この例えが適切かどうかは、あまり突っ込まないで・・・・)

ま、でも、この怪物歌手の威力は十分に堪能できた。

他の歌手陣では、ホセ・ブロスが圧倒的に良かった。こせこせせずに、大らかで伸びのある歌いっぷり。大いに気に入った。

フロンターリも適度に陰影をつけた歌い方が非常に良かった。「この人にジェルモンを歌わせてみたいな」と思いながら聴いていたが、帰宅して調べたら、果たして、ジェルモンは彼の十八番のようだった。

サラを歌ったクラステヴァは技術的には十分上手いのだが、ちょっと詰まった声質で、聞いていて息苦しくなる。個人的にはこういう声は好みではない。

いただけなかったのは、オケ。演奏会形式なので、オケはピットではなくステージ上に乗った。ウィーンの素晴らしい音を存分に楽しめるだろうと期待していたら、あにはからんや、アンサンブルが粗雑で、音色も精彩を欠いていて、がっくり。焦点の定まらない、寝ぼけた演奏だった。

ウィーン国立歌劇場、ウィーンフィルは、この5年間に、ウィーン、ロンドン、日本で20回以上聴いているが、その中のワースト3に入ると思う。

時差ぼけか、と思ったが、来日してから相当時間が経過しているはずだから、それはあるまい(27日のコジはとても良かったし)。おそらくは練習不足であろう。(さもなくば指揮者のせいか?)

d0135403_104825.jpgこの日の席は3階の最前列。舞台から多少距離はあるものの悪い席ではなく、たぶんB席相当くらいだと思うが、プレミアムエコノミー席という区分で拾い、えらく安く買えた(B席の半額よりずっと安い!)。

投売り価格のチケットが出るとは、さすがのグルベローヴァもそろそろ飽きられたか、と思って行ったら、案に相違して会場は満席。文化会館の前には「チケット買うよ~」としわがれたダミ声を出すダフ屋や、「求むチケット」の札を掲げた人も何人か見受けられた。ホール入り口には「大入」の札が。

なぜ、あんなに安くチケットが買えたのか、今だに不思議である。


ノート
・ この駄洒落、絶対に誰か考えたはずと思って調べたら、やっぱりありました。美味しいものを食
  べ歩くお婆さんたち
、すなわち「グルメ老婆」の会。
・ 調子に乗って、では「雨降りの日に出歩くお婆さんの会」はあるかいな、と思って調べたら、こ
  れは見つかりませんでした。・・・「傘老婆」の会
  (カサロヴァは来年3月に、サントリーホールでカルメン(演奏会形式)を歌う予定です)
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by bibinga | 2008-11-06 01:00 |  

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